筆は中国製のものを使うことが多い。

和筆のほうが、遥かに精密に作られているのは承知の上。

学生時代は、和筆を買いそろえる財力が無く、止むを得ず唐筆のなかでも手に合うものを探して使っていた。

社会人になって、懐具合に余裕ができても唐筆を使い続けているのは、唐筆のよさのせい。

先が利かなかったり、毛がすぐ抜けるものもあるが、ぶっきらぼうな線が引けて作品に中国的な味わいがあらわれる気がする。

啓功や林散之、沙孟海のような憧れの書人だって中国の筆を使っているのだから、悪いものばかりの筈がない。



唐筆 「呉昌碩用筆 缶廬」 武林邵芝巖

 

羊毫 2.5×6.5×33.0cm 
呉昌碩用筆の銘につられて購入したもの。
この筆で石鼓文の臨書を・・・と思い買ったのだが、篆書を書くには硬すぎた。
専ら隷書を書くときに使用している。



唐筆 「東方紅」 武林邵芝巖

 

羊毫 1.0×4.0×25.5cm
程々の柔らかさで使いやすい。
篆書・隷書は大抵この筆で書く。



 
唐筆 「山馬書画提筆」 武林邵芝巖

 

0.9×4.2×30.0cm 
清雅堂にて購入。
本来の山馬筆ほど硬くは無い。
おそらく馬毛。
行書・草書を書くときに稀に使用。



唐筆 「至字」 戴月軒

 

羊毫  1.6×6.5×29.0cm
毛質の粗い羊毛筆。
篆書を書くときに稀に使用。
この筆で大味な行書を書けないか試行錯誤中。



唐筆 「清泉」 上海周虎臣

 

羊毫 1.2×4.0×24.0cm 

上海の老周虎臣筆墨荘で購入。
小さな店だったが、質のよい羊毛筆で溢れていた。
日本に入ってきていない質のよい唐筆が、中国にはまだたくさんあることを知った。




唐筆 無銘 上海周虎臣



羊毫 1.2×6.5×30.0cm
上海の老周虎臣筆墨荘で購入。
持っている筆の中で最も柔らかいもの。
細身の 篆書を書くときは大抵これを使う。
大変書きやすく、良い線が出る。




唐筆 「松禅遺製」 戴月軒



狼毫 0.9×3.2×22.0cm
軸に純冬狼毫の銘が入っている。
ここでいう狼とは、鼬の一種をさす。
先のよく利く筆。
銘の「松禅」は翁同龢のこと。
清末の大官僚として国政に携わり、書に於いては、顔法を基調とした重厚な作品を書いた人。
穂先のごく一部を使って、小さな行草を書くときに使用。
翁同龢とは全く異なる使い方をしている。




唐筆 「玉蘭蕊」 北京湖筆店



羊毫 0.9×4.0×24.0cm
東方紅と同じく、程々の柔らかさで使いやすい。
半紙に隷書の臨書を6文字ずつ書くときに使用していた。
社会人になって以来、臨書をしていないので、この筆の出番も減ってしまった。
またじっくり臨書に取り組んでみたい。
さもないと、全くうまくならない。




和筆 「兼毛栄寿」 栄豊斎



兼毫 1.3×5.4×30.0cm
おそらく栄豊斎が中国の筆屋につくらせたもの。
武林邵芝巖製ではないかとおもっている。
条幅に楷書・隷書を書くときに使用。
社会人になって以来、条幅を書いていないので、これも出番が減ってしまった。